2011年2月28日月曜日

IFRS導入のロードマップ

イージフの野口です。
このブログでは、IFRSについて個別の基準書や公開草案などの解説が中心に情報発信をしていますが、最近はいかに対応するかという方法論も紹介しています。というのも、知識を得ることは必須なのですが、どうやって進めるか、というところはまだまだ手探りな状態である場合が多いように感じます。

そこで、「IFRS導入のロードマップ」というタイトルの記事を、ITmediaエンタープライズで連載させていただいています。この連載では、IFRS導入のステップとしてよく紹介される調査計画、計画実行、運用監視の各段階において、具体的に何をすればよいかということを解説しています。ただ単に基準書の内容に焦点を当てるのではなく、システム面や内部統制の観点からも、必要な備え、対応のポイントを説明します。

IFRS導入においても、適切な判断を行なえるように、いかに情報を収集、整理できるか、実行のためのリソースを確保できるか、適時振り返りを行ない改善できるか、ということが大切になります。このことは他のプロジェクトでも変わらないと思います。闇雲に対応を進めて、実務が混乱することは避けなければなりません。それには具体的に何をするべきかということを理解した上で、着実に準備を進めていくことが不可欠なのです。

そうはいっても、改訂を控えている基準書がある、まだまだ動向が不透明、といったなかなか動き出しにくい要因もあります。そのような不確定な要因についても、何が確定していることとしていないことを明確にして、スタンスを決めておくことが必要です。そうすることで、不確定な状況でも、手戻りすることなく、対処できるのです。

現在は第1回の記事が掲載されていますが、連載は全部で8回の予定です。
ITmediaでは、当ブログの記事も掲載していただいています。ブログ共々よろしくお願いします。

野口由美子



2011年2月21日月曜日

IFRSとITシステム

イージフの野口です。今回はシステム対応について考えてみたいと思います。
IFRSを企業で導入するにあたって、システムでの対応は非常に重要な問題です。現在の会社業務というのは、ITへの依存度が高くなっているので、当然のことだと思います。

しかし、システムの問題となると、全面的にシステムを刷新する場合や一部の改修に留める場合などいろいろな選択肢があります。業務の効率化を狙って積極的にシステムに手を入れていく場合もありますが、コスト負担を避けるためにできるだけシステムは現状に留めるという場合もあります。最低限の対応だとどれくらいのことが必要で、さらに上を目指そうとするとどういうことができるのか、いずれの選択肢を選ぶにしても知っておく必要があると思います。

まず、IFRS適用により複数会計基準への対応をどのように行なっていくか、考え方としては、大きく分けて以下の2つがあります。
1. 記帳は日本基準もしくはIFRSベースのどちらかで行ない、まとめて組替
2. 記帳を日本基準とIFRSベースの両方で行なう

さらに細かくパターンを分けることもありますが、いずれにしても取引ごとの記帳を1つの基準でやるのか、複数基準でやるのか、というところが一番大きな違いとなります。よくシステム対応で話題になるのが複数帳簿です。複数帳簿は必要なのか、不要なのか。

複数帳簿というのは上記の2のやり方にあたるわけですが、実は今までそれほど一般的な方法ではなかったのではないかという印象を受けます。海外のベンダーは日本より先にIFRSを適用している国々でシステムを提供していたわけですが、かれらにとっても複数帳簿で全面的に対応しているバージョンを早くから提供していたわけではないようです。しかし、最近の動向としてはグローバル展開している企業がグループの経営管理を高度化していくために、複数帳簿を導入する事例が出てきているようです。

複数帳簿を導入すると随時IFRSベースの数値が確認できるわけですから、タイムリーな管理が可能となりますし、統一したシステムとしてグループに導入すれば業務の標準化、効率化も図れるメリットがあります。しかし、導入の負担が大きくなるので、そのコスト負担をどのように考えるかは企業によって異なってくると思います。

複数帳簿ではなく、記帳はあくまで1つの基準で行なう場合は、決算の組替処理などの手続を行なうことでもう1つの会計基準による数値を出すことになります。日々の記帳を日本基準で行なうか、IFRSで行なうか、という選択肢があります。
IFRSで記帳を行なうとすれば、日本以外の国にあるグループ会社とも業務の標準化ができ、管理上は望ましいといえますが、税法などのことを考えると日本基準での記帳を選択する企業の方が多いのではないでしょうか。

多くの国内外のベンダーがこれら両方の選択肢をユーザーに提供できるような態勢を整えるようです。とはいえ、データの持ち方やグループ会社間のデータのやり取りの仕方など、各社いろいろな特色を持って取り組んでいます。システムの対応については時間がかかる場合が多いため、早い段階からの情報収集が大切です。

(今回の記事は下記の書籍を参考にしました。さらに詳しい情報も載っていますので興味のある方は、参考にしてください。)
IFRSシステム対応の実務(日本実業出版社)日本オラクルIFRS研究会


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野口由美子



2011年2月16日水曜日

aegif主催セミナー IFRSを見据えた連結管理と内部統制

イージフの野口です。セミナーのお知らせです。


IFRSの導入に向けての準備を始めている企業は非常に多く なってきました。取り組みを始めた企業の中で重要視されているテーマの1つに連結グループの決算体制をどうするか、という問題があります。今回のセミナー 第1部では、この問題について論点を整理し、どのような対応策をとるべきであるか解説していきます。


また、重要ながらも意外と議論が進んで いないテーマもあります。内部統制については議論があまりなされていない状況ですが、実際の現場では必ず対応が必要となります。そこでセミナー第2部では 内部統制上の対応を考える上で必要な知識を整理します。また、現在の日本の内部統制の制度動向も解説し、今後の方向性を説明します。


IFRSについてはいろいろな切り口がありますが、今回のセミナーでは今後必ず必要となってくる視点を提供し、自社の取り組みへの参考としていただきたいと思います。


 


日程:2011年03月16日(水)


時間:13:30〜16:15(13:15開場)


会場:ITS市ヶ谷健保会館(東京都新宿区市谷仲之町4-39)


参加費:無料 事前登録制


定員:30名


ご興味のある方は弊社HPにてお申し込みください。よろしくお願いいたします。


野口由美子



2011年2月14日月曜日

IFRS時代の管理会計

IFRSを一言で表すならば、投資家のための世界共通の財務報告基準です。IFRSの目的は、ルールを統一することによって、グローバルな資本市場において企業間の比較可能性を向上させることにあります。制度はそこに参加する者すべてが、同じルールに従うところに意義があります。上場企業は、株式市場に参加するために好むと好まざるとに関わらず、世界共通ルールのもとで財務諸表を作成し、開示しなければなりません。


上場し続ける限り資本市場が要請する制度会計への対応は必須ですが、それだけで十分でしょうか?財務諸表には、経営者の説明責任を果たす機能だけでなく、経営の羅針盤としての機能もあります。IFRSベースで作成された財務諸表は、そのまま管理会計に使えるのでしょうか? 


 


現行の日本基準では、財務諸表の利用者として、経営者、債権者、税務当局、投資家と様々な利害関係者を想定しています。利害関係者は、異なる情報ニーズを持っています。経営者は、経営管理に役立つ情報を、債権者は、企業の債務弁済能力を、税務当局は、企業の租税負担能力を、投資家は、将来の企業価値の予測に役立つ情報を、それぞれ求めています。したがって、日本基準は、多種多様な利害関係者の要請に応え、納得が得られるように基準の設定をしてきました。


このように従来の日本基準では、財務諸表の利用者として経営者も想定されていたがために、制度会計で作成された財務諸表をそのまま管理会計に用いたとしてもそれほど不都合は生じませんでした。


 


一方、IFRSでは、財務諸表の利用者を「第一義的には投資家を対象としている」と明示しています。また、「IFRSの目的は、世界の一体化している資本市場に財務報告に関する共通の言語を提供することであり、それによって取引が世界中のどこで起ころうとも関係なく、最善の方法で処理することが可能になる」とディビット・トゥイーディーIASB議長が述べているように、IFRSが念頭におくのは資本市場の共通言語です。基本的に投資家以外の利害関係者については、考慮しません。


つまり、IFRSは投資家が必要とする情報ニーズを満たすため、外部報告目的に特化したルールといえます。よって、純粋な制度会計の基準であるIFRSをそのまま企業内部の管理会計に用いることには無理が生じ、経営に混乱をきたすでしょう。


 


IFRS時代にあっては投資家のための制度会計と経営者のための管理会計は別物と認識する必要があります。IFRS対応というと、IFRSに準拠した財務諸表を作成する体制を整備すること、と捉えられがちですが、管理会計についての対応も考えておかなければなりません。IFRSを契機に、各企業は自社の実情にあった管理会計の手法を今一度見直すことになるでしょう。


次回は、制度会計がIFRSに変更となることで生じる管理会計上の問題点についてさらに考察していきたいと思います。


松岡 佑三



2011年2月7日月曜日

IFRSに着手するのはまだ早いと考えるなら

イージフの野口です。

IFRSが日本でも注目され、いろいろな取り上げ方をされるようになっていますが、そもそもまだ日本で適用することが確定していない現時点で、適用に向けて取り組むのはまだ早い、とお考えの方は多いと思います。しかし、そう考えてはいるものの、全く無視するわけにもいかず、どのようなスタンスで臨むべきか実際は決めかねているという状況にある方もおおいのではないかと思います。

実際、私たち株式会社イージフでは、企業のIFRS診断を行なってきていますが、すべての企業が先を急いで対応しなければならない、という結論に至るわけでもありませんでした。そもそもIFRS以前に社内の他の問題に取り組まなければならない、周りの対応状況をみて考えたい、などと各企業いろいろな事情があって、着手ができないこともあるようです。

しかし、そのような段階でも書籍や雑誌などでIFRSの知識を深めていこうとすると、意外とそこには勘違いや説明の不十分なところがあり、IFRSを実務で適用できるところまで理解していくというのは難しい場合が多いと思います。解説本はたくさん出ていますが、それらは参考までにしかならず、結局基準書の原文にあたり考えていくしかないようです。

非常にIFRSは取っ付きにくい問題、と思われている方が多いのではないでしょうか。そこで、弊社では、その「取っ付きにくさ」を打ち消してIFRSに取り組むきっかけとなるようなワークショップを開催することにいたしました。このワークショップでは、弊社の公認会計士が個別に支援して、希望の分野について自社の会計処理とIFRSの差異を洗い出し、その影響を特定していきます。2時間のワークショップで、1つのトピックについてはIFRSの正確な理解と、自社が対応した時に影響把握ができます。IFRS対応の一部を体験する入り口としてやってみると、IFRSの実務がどのようなものであるか、肌で感じることができると思います。

プログラムは4つ用意してあり、
初度適用
有形固定資産
収益認識
無形資産(開発費)
のうちからご希望の者を選んでいただきます。
開催は2月中のご希望の日程で行ないます。

詳しい内容、お申し込みは弊社HPよりお願いいたします。

野口由美子