2011年11月21日月曜日

「現場で使えるIFRS導入の実務」への質問

イージフの野口です。


「現場で使えるIFRS導入の実務」を読んでくださった方から質問をいただくことがあり、できる限り答えさせていただいています。今回はその中の1つをこのブログでも取り上げてご紹介したいと思います。


質問


IFRSにおける加重平均法とグループ会社の会計方針との関係について


棚卸資産の評価に親会社は移動平均法を、子会社は月次平均法を、また別の子会社は四半期平均法を採用しているものとします。それぞれの会社が違う平均法の計算を採用している場合であっても、会計方針を統一していると言えるのでしょうか。


IFRSでは、all inventories having a similar nature and useにthe same cost formulaを使用するものとする
となっています。weighted average cost formulaには、on a periodic basis, or as each additional shipment is receivedによる計算が含まれています。したがって、連結グループ内で、違う平均法を採用しようとも、全ての棚卸資産についてthe same cost formulaを使用していると言ってよいと思うのです。なぜならば、IFRS上において、cost formulaにはFIFOかweighted averageを使用することとなっており、親会社が移動平均法、子会社社が月次平均法や四半期平均法を採用しようとも加重平均法(weighted average cost formula)を採用しているためです。
しかしながら、depending upon the circumstances of the entityに着目すると、the entityがグループ全体
のことを言っているならば、on a periodic basis, or as each additional shipment is receivedによる計算はどちらかに統一しなければならないと読むような気もします。”or”と書いてあり、”and/or”にはなっていないためです。
細かいことを言えば、移動平均法、月次平均法、四半期平均法では、大きく期末棚卸資産の評価金額が異なる場合があり、IFRSはそれも認めてしまうのか疑問に思うわけです。


回答


これはIFRSにはっきり書いていないですし、実は悩ましい問題です。


IFRSは、そういうはっきりしない部分が多いと思います。

ご質問の中にあるように原文にあたって、その意義から判断するしかないと思います。

回答としましては、正しくもあり、覆される可能性もある、というところです。


実際には監査法人がどう考えるか、ということになってしまうと思います。 

平均法が月次でも四半期ごとでも加重平均法であるのだから同じである、ということもできますし、

すでにご指摘にあるように評価結果が変わってしまうなどの影響があるので月次なら月次に統一しなければならないとも考えられます。

実務的には、この辺りの重要性を監査法人がどう考えるか、ということになってくると思います。

海外では棚卸資産の計算がかなり大雑把な場合もあって、そこまで統一していないケースもあるようです。

逆にシステムからマニュアルからすべてグループで同じものになっているので、統一されているということもあります。

一口にIFRS適用といっても実務はかなり幅があるというのが現実だと思います。

実務では、IFRSをいかに解釈して会社の実態にあてはめたのかを説明できることが重要なのです。

本の中ではあまり詳しく触れられませんでしたが、大切な問題だと思います。質問をくださった方にこの場を借りて感謝いたします。

野口