2014年10月31日金曜日

新しいIFRS、包括利益はもういらない?

イージフの野口です。この1年ほど、雑誌記事を書くために毎月IASBの会議を見ています。IASB会議は便利にできていて、ウェブキャストで視聴できるため、何回でも同じ議論を確認することができます。また各トピックごとに作成される資料もたくさんありそれらはすべて事前に見られます。しかし、これらの資料に目を通し、会議の内容についていくには慣れが必要であることを感じました。そのようなことに慣れていなくても、会議の内容がコンパクトに理解できるという狙いでいつも記事を書いています。


これまでIASBの会議を見てきて思うことは、昔のIFRSと今のIFRSは違う、ということです。そのことは特に概念フレームワークの議論で感じられます。現在IASBでは概念フレームワークの改訂作業を進めています。2010年にも概念フレームワークは改訂されているのですが、その時の改訂ではカバーできなかった部分がたくさん残されており、今回はその残り部分に焦点が当たっていて大幅な改訂になります。前回の改訂でも新しいIFRSが意識されている内容になっていましたが、それがもっと具体的に表れてきているように感じられます。


今年のIASB会議の議論の中で、損益と資産についての議論では、特にその新しいIFRSの考え方に触れることができます。今回は損益について紹介します。


これまでIFRSというとBS重視が特徴として挙げられていました。損益はあまり重要ではなく、包括利益が重要な利益概念とされていました。しかし、現在のIFRSはすでにBS一辺倒ではなくなっています。損益も重要な情報である、というのが現在のスタンスです。損益が重要となると、今度は逆に、その他の包括利益は何なのかということが問題になってきます。どのようにその他の包括利益を位置づければいいのか、ということが議論されています。


これまで会議では、その他の包括利益に含まれる項目は、その項目がその他の包括利益に分類することで損益の目的適合性が高まる場合にのみ分類されることになります。すべての収益費用項目を損益に分類することが原則となります。また、その他の包括利益を財務諸表利用者がどのように利用できるか指針を出して、企業の業績に関する情報の源泉であることを明確にすることが決定されています。


このような会議の決定事項は大きなIFRSのシフトを表しています。BS重視を取り下げたことによって、包括利益という考え方あまり重要ではなくなりました。しかし、現在の会計の考え方では、すべてを損益に含めてしまうことも難しく、その他の包括利益も必要です。そのような現在の会計の考え方に合った概念フレームワークが作られようとしています。


このような「大きなシフト」は日本基準に慣れ親しんできた私たちには分かりやすいものだと思います。日本基準はもともと損益を重視する考え方です。今のIFRSは私たちにも受け入れやすいものになってきていると思います。


イージフ 野口