2015年2月2日月曜日

IFRS、これからの注目トピック

イージフの野口です。2015年になりました。すでに2月に入り、1年を総括するにはちょっと遅いかもしれませんが、2014年のIFRSの動向と2015年の展望を考えてみたいと思います。


2014年の前半は、長期にわたって取り組まれてきた大きなプロジェクトが完了しました。


 


一番大きいのが収益認識です。収益認識は2014年5月に新しい基準書が公表されました。2001年時点で改訂のアジェンダにはあったものの、2008年のディスカッション・ペーパー、2回の公開草案を経て、非常に長いプロジェクトとなりました。新基準書では統一されたモデルによって収益を認識します。従来の会計慣行を変更することは目的とせず、シンプルな原則基準のIFRSにふさわしい規定を目指して改訂されました。


 金融商品についても大きな成果がありました。金融商品の評価に予想損失モデルを導入、ヘッジ会計の改訂を含む新IFRS9号「金融商品」が公表されています。金融商品はマクロヘッジを残して完了しました。金融商品会計はこれまでの基準書よりも簡素化されたと思います。


 その他に概念フレームワークは2014年中に頻繁に取り上げられ、審議自体はほぼ完了しています。2015年に公開草案が公表されることになっています。かつてはIFRSといえば、BS重視、時価主義と言われていましたが、今はそれほどBSが重視されているわけでもなく、公正価値一辺倒でもなくなっています。そのような現状のIFRSの考え方に合わせた概念フレームワークに改訂されることになっています。


 2014年内には終わりませんでしたが、リースの再審議は終わりが近くなっています。FASBがIASBが支持するリースのアプローチを採用しない決定をし、米国基準とのコンバージェンズの先行き不透明な状況から2014年の審議はスタートしました。それでも、合同で審議が継続し、2015年前半には審議が完了すると考えられます。今でもIASBとFASBは別々のアプローチを採用する姿勢を崩していないので、新しいリース会計では両基準の差異が拡大することになります。今後IFRSと米国基準がどのように変化していくのかは注目されているところですが、コンバージェンスはそう簡単には達成しないという悲観的な見方が強いと思います。


これから審議が始まるトピックで注目すべきなのは企業結合だと思います。まだ審議は始まっていませんが、のれんの償却の要否、無形資産の識別など日本基準との差異があった項目を含め、重要な論点が議論される予定です。これらの論点はすでにFASBでは改訂のための作業に着手しており、FASBとの共同作業で改訂を目指すようです。どこまでコンバージェンスが達成できるのか、難しい審議になると思います。


その他に、開示イニシアティブから定義されたいろいろな問題が2015年には本格的に審議されることになると思います。開示イニシアティブではIFRSによる開示基準を見直し、不要な情報が過剰に開示され、必要な情報が開示されない(もしくは埋もれてしまっている)という状況をなくしていこうとしています。ここには現在の開示は情報過多なのではないか、という問題意識があります。IFRSは多くの国で採用されるようになり、当初の想定とは違う実務や解釈もできているようです。大きく見直される時に来ているのだと思います。


個人的には、意外と外貨換算が後回しにされているという印象を受けています。現在改訂の必要性は認識されているものの、まだ本格的な審議が行われる段階まで進んでいません。外貨換算については5年以上前も問題があるという認識があったようでしたが、2015年も他のトピックが優先され、審議は進まないかもしれません。外貨換算の理論を見直すことが必要と考えられており、改訂がなされる場合は大幅な変更となるのではないかと思います。


 


IFRSは今年も少しずつですが、着実に変化を続けます。IFRSが(日本にとって)いいか、悪いか、という議論を見ることがありますが、世界共通の会計基準としてふさわしいものであるため、より良いものを目指していることは確かだと思います。


 


イージフ 野口