2015年3月2日月曜日

リースの定義を巡る長い議論で何があったか

こんにちは。イージフの野口です。このブログではIFRSの最新動向をご紹介しており、最近は注目度の高いリースについて度々取り上げてきました。前回は2014年9月にリース基準の改訂についてご紹介しました。リース会計の借手の処理はIFRSと米国基準で違うものが支持されており、コンバージェンスの達成はできない見通しです。しかし、借手がリース資産をオンバランスする(現行基準のオペレーティング・リースの廃止)という最大の目的は果たせることになります。


2010年だったと思いますが、当時のIASB議長のSir. David Tweedie氏が東京で講演を行い、「自分が死ぬまでに航空会社のバランスシートにオンバランスされた飛行機に乗りたい」と発言されていたのが、とても印象的でした。彼の在任中には果たされませんでしたが、新リース基準は2015年中に公表される予定であり、ようやく長年の夢が叶うことになります。


前置きが長くなりましたが、リースの審議で多くの議論が巻き起こった興味深い論点を紹介していきたいと思います。今回はリースの定義についてです。ちょうどIASBでも新しいリースの定義を説明する資料が公開されました。


新しいリースの定義は以下の2つの要件からなっています。


1. 契約の履行が特定された資産の使用に依存すること


2. 原資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転すること


新しい定義では「特定された資産」であること「特定された資産の使用を支配している」といえることがポイントとなります。現行のIAS17号では、貸手が一括または数回の支払いを得て契約期間中資産の使用権を借手に移転する契約、という定義を定めていますが、IFRIC4号でさらに細かい点に踏み込んでいます。新しい定義はIFRIC4号の内容を包含したような定義になっていると思います。


新しい定義の中で最も議論されたのはリースする資産の使用を「支配」しているとはどういう状態を指すか、という問題でした。基本的な考え方は借手がリース資産を支配しているのであればリース、貸手が支配しているのであればサービス、という分類です。


新基準において借手がリース資産を支配している状態とは、


・使用、目的を指図できること


・リース資産の使用から生じるほとんどすべての経済的便益を得られること


という2点であることが明確にされます。


リースした資産を借手が単独で自由に使用できるのであれば特に問題はありません。しかし、例えば、特殊な設備のリースで設備を稼働させることが借手単独でできない場合など、借手が自由に自ら使用できなくても、リース資産を「支配」していると言えるのでしょうか。2014年を通して議論が重ねられましたが、最終的には借手が自らの手でリース資産を使用することができなくてもリースに含まれるという結論になりました。


この結論に至った理由は、基準が複雑になりすぎて適用が難しくなることを回避しようという実務への配慮が大きかったようです。審議中にはかなり複雑な条件が検討されていましたが、非常にシンプルになったと思います。またこのリースの定義についてはIFRSと米国基準が同じ内容になることで合意されています。


新リース基準の論点については他にも面白いものがありますので、またご紹介していきたいと思います。


イージフ 野口由美子