2015年8月3日月曜日

新収益認識基準IFRS15号の改訂はコンバージェンス達成しているか

こんにちは。イージフの野口です。

IFRS15号「顧客との契約から生じる収益」が公表され、発効する前に改訂されるという異例の事態が起きています。2015年7月に改訂についての公開草案とその後にIFRS15号の適用日を延期することが決定される予定です。この一連の動きはTRG(移行リソース・グループ)というIFRS15号の円滑な適用を実現するためにIASBとFASBが創設した団体の報告に対応するためなのですが、FASBはこの報告への対応を行ったことにより新基準の適用を1年延期する決定をすでに行っています。IASBも同様の決定を行うと考えられます。

今回の改訂は基準書の内容を変更することが目的ではなく、内容をわかりやすいものに明確化することに主眼が置かれています。すでに決定した内容を覆すものではないのですが、IFRS15号が米国基準とのコンバージェンスを達成するために開発されてきたものであることを考えると、ここでの改訂もIASBとFASBが足並みをそろえる必要があります。しかし、これまで決定されてきた改訂事項を見てみると必ずしも両者が同じ決定を行っているとは限りません。コンバージェンスはどうなってしまったのでしょうか。

IASBとFASBの合同審議は、実際に見てみるとわかるのですが、合同といいつつも両審議会のメンバーが議論を交わすということが行われるわけではありません。順番にそれぞれの審議会が別個に議論を行い決定を下していき、互いの議論を聞き合っている、という状態がほとんどです。両方の審議会に提案される内容が同じになるように共同で作業を進められており、同じ提案に対してお互いがどのように考えているのか、感触を探りながらも、各々が決定を行っていきます。コンバージェンスを達成するには、両審議会に出されている提案が同じであることが第一に重要になります。

IFRS15号の今回の改訂ではこの両審議会へ提示する提案が共同で作成されていることでかろうじてコンバージェンスが達成できている、という印象です。改訂ついてFASBは積極的に多くの決定を行い、IASBは必要最低限に留めようとしており、ここの決定事項を見ているとかなり違いが目につくのですが、それでも両者は同じ規定を意図しており、それぞれの言葉が違っても実質的にコンバージェンスを達成できていると捉えられています。

同じ英語という言語を使用しており、統一された会計基準であるならば、一言一句同じであるのが自然だと思います。しかし、今のIFRS15号(リースの新基準でも同じような現象が起きていますが)では、必ずしも同じ文言にはならない、というのが現状です。会計はより難しい世界になってきたと思います。

イージフ 野口由美子