2015年11月2日月曜日

IASBとFASBが企業結合について議論、のれんはどうなる?

こんにちは。イージフの野口です。IFRSと米国基準は結局別々のままで、アメリカがIFRSを採用する可能性は低い、という印象を持たれている方は多いと思います。そのような状態である限り、日本でもIFRSが強制適用となることもあまり考えられず、現状維持、様子見、というスタンスが多数派だと思います。

IASBFASBはかつてのようにコンバージェンスプロジェクトという大旗を振って、統一を目指すことはしなくなりました。IFRSと米国基準ではその根底にある考え方はそんなに大きな違いはないのかもしれません。しかし、両者が有する利害関係者からの要求が違うということから端を発する見解の相違を見ていると、まだ両者が統一するには時間がかかるのだろうと感じます。

それでもなお、IASBFASBは統一した基準を目指しているというのも確かです。以前、このブログでIASBFASBの合同審議の様子をお伝えしたことがありました。大抵の場合は、テレビ会議で両者がそれぞれ議論を行い、それを聞き合っているような形で審議が勧められています。「合同審議」という言葉のイメージとは違う会議の様子に驚かれた方もいたようです。

20159月の IASB会議では、FASBメンバーの出席のもとロンドンで直接顔合わせして会議が行われました。議題は教育セッションが中心で具体的な決定事項はありませんでした。しかし、それでも両者がわざわざ会って話をしている様子は非常に興味深いものです。お互い疎遠になりつつも、どこかに協調のきっかけを見出そうとしているように感じました。

これからのプロジェクトで企業結合が非常に注目されることになると思います。企業結合については
事業の定義
のれんと減損
が主な改訂論点となっています。


事業の定義について、IFRSの現行基準は批判されています。事業の定義が広すぎるのです。定義を明確にする目的でIASBは審議を行う予定ですが、実はFASBですでに改訂作業に着手しています。IASBではFASBの動向をIASBでも取り入れていけるかという観点で検討する予定です。具体的に検討しようとしている論点はFASBとは異なる部分が問題となっており、IFRSの問題として挙げられている点をクリアした上で、できるだけ定義を統一しようという試みがなされることになると思います。問題のハードルが高くなってしまっているのですが、高品質かつ国際的に統一された会計基準の実現に向かおうしているのは確かです。

のれんと減損は、改訂の必要性が認識されているものの、両審議会ともにどのような方向性で改訂するのか定まっておらず、白紙の状態です。のれんを償却するのか、しないのか、という会計処理の問題がありますが、この会計処理は単独の問題として扱うことができず、他の論点とも密接にかかわっています。現在の両審議会メンバーの会議での発言を見ていると、のれんを償却するかしないかどちらか選択するとしたら償却した方がいいように思うが、あまり積極的な意義を見出すこともできないため、改訂すべきとも言い切れない、という意見が多いようでした。

のれんの償却については日本基準とIFRSの大きな差異のひとつです。IFRSが今後のれんの償却をするという改訂を行うことも考えられます。日本企業にも大きな影響が出ることになるので、注目すべき論点です。


イージフ 野口由美子