2016年3月7日月曜日

保険契約、ついに審議が完了しましたが

 こんにちは。イージフの野口です。
収益認識やリースといったIASBの大きなプロジェクトがひと段落し、保険契約は現在進行している中では最も長期の大きなプロジェクトです。その保健契約も20161月の審議で技術的な論点の審議がすべて終わりました。最後の審議では、予定の時間をオーバーして議論が続いたり、スタッフが翌日に追加のペーパーを提示したり、慌ただしい印象でした。

そして、最後に残されていた論点の保険契約のグルーピングは、今後も議論になりそうな部分を残した感があります。

保険契約のグルーピングは実務上大きな問題です。すでにIASBでは新基準では保健契約を個別に会計処理することを原則としながらも、グルーピングして集約した上で会計処理を適用することを認めていました。しかし、そのグルーピングの方法や考え方が明確になっていないことが問題となっていました。

1月の審議では、契約をグルーピングの要件が議論されました。

契約上のサービス・マージンを配分するときのグルーピングの要件については言葉の表現について最後まで議論になりました。審議の様子を見る限り、今後の基準書作成段階で”sweeping issue”として再度取り上げられるかもしれません。

そもそも、契約上のサービス・マージンを配分する目的は、個別の契約の損益を、保険契約期間に渡り、契約上のサービスの移転に応じて認識するために適切な方法で、契約上のサービス・マージンを認識する、ということです。

その目的を達成できる範囲において、グルーピングを認めるというのが新基準のグルーピングの考え方です。この考え方自体はメンバーの賛成を得られているのですが、「個別」の契約の損益を適切に認識する、という表現をここで使ってしまうと誤解が生じるのではないかと懸念が根強く、どう表現するか最後まで意見はまとまりませんでした。

本来の会計処理の目的に反しない範囲で、グルーピングを行う、という規定の趣旨自体はそれほど難しいものではありません。新しい保険契約会計を理解するには、最終基準書でどのような文言になるかという問題よりも、今回の会議で決定したその他の要件をおさえておく必要があると思います。契約上のサービス・マージンを配分するときの要件は他に以下のものが規定されます。 
  • キャッシュ・フローが主要なリスク・ドライバーに対して金額、時期が同様に反応する
  • 期待収益性が類似している
  • 予想デュレーション、期末日以降に残存する契約量を反映した方法で契約上のサービス・マージンの各期への配分を調整する

新保険契約基準は実質的に初めての世界で適用される保健契約会計となります。今回の審議で実質的な審議は終わり、その後基準書が作成され、2016年末までに最終基準書が公表される予定となっています。そして、適用のための準備期間が3年程度必要と考えられているので、強制適用は2020年か2021年になると予想されます。


イージフ 野口由美子