2016年7月4日月曜日

アジェンダ・コンサルテーション2015で見えてきた、これからのIASB

こんにちは。イージフの野口です。
現在IASBではアジェンダ・コンサルテーションとして、今度のIASBの活動方針や個別プロジェクトの計画等が検討されています。今回のアジェンダ・コンサルテーションでの決定を見ていると、IASBの方針がだいぶ変わってきたことに気づきます。何が変わってきたのか、私は以下の3点に集約されると思います。

より長期的な視点に立つ

アジェンダコンサルテーションの開催は3年ごとでしたが、今後は5年程度期間を空けることになりました。主要なプロジェクトは大抵5年以上に及んでいて3年ごとでは期間が短すぎるということと、IASBも利害関係者もより長期的視点に立つべきという考えのもと決定されました。

かつては、環境変化に適時に対応することが重視されてきたように思います。米国基準とのコンバージェンス・プロジェクトが活発だった頃に比べると、最近のIASBでの基準書開発のペースはだいぶ落ち着いてきたように感じられますし、必要とあれば、再審議、文書の出し直しも積極的に行っています。IFRS自体、多くの国で適用されるようになり、利害関係者が非常に多くなりました。何をするのも時間がかかるため、スケジュールは「マイペース」に感じられます。

個別の基準書開発が最優先事項ではない

金融商品、収益認識、リースといった長期に渡る大型プロジェクトが終息した後、これからは基準書の安定的な運用に焦点が当てられることになります。

たとえば、基準書の適用支援や財務諸表作成者と利用者との効果的なコミュニケーション、現在改訂されている概念フレームワークと個別基準書間の整合性を高めることなどが重要と考えられています。これからIASB会議で取り上げられる内容も変わってくることになるでしょう。

後回しにされてきた「難題」に取り組む

これまでは収益認識といった大きなプロジェクトが優先されてきましたが、その陰で後回しにされてきたプロジェクトは、これから着手されることになります。特に以下のプロジェクトは、今回のアジェンダ・コンサルテーションでも重要性が再認識されたように思います。

・資本の特徴を有する金融商品
・動的リスク管理
・持分法

資本の特徴を有する金融商品では、負債と資本をいかに区分するかという問題に取り組むことになります。現在は、さまざまなタイプのデリバティブが組成されていますが、それが負債なのか資本なのか、現行規定ではうまく区分することができません。

動的リスク管理は、マクロヘッジの会計処理の規定を改訂することが目的です。現行規定のマクロヘッジでは、一般的なヘッジ会計の例外処理として扱われていますが、企業のリスク管理に合わせた処理が行えるように改訂する審議が継続しています。

持分法については、現在のIFRSの枠組みの中で、持分法の位置付けが不明である、という指摘があります。一行連結なのか、測定方法なのか。会計処理も今の方法には無理があるのではないか、と考えられています。現時点ではどれだけの範囲で改訂に着手するか決定していませんが、持分法の見直しは重要であると認識されていました。

今後5年のIASBの活動は、マクロヘッジなど長年解決できなかった「難題」に取り組みつつ、基準書全般に係る活動が増えていくことになるようです。かつてと比べるとIASBも大分変ってきたと感じました。


イージフ 野口