2016年9月12日月曜日

新概念フレームワーク、認識基準をめぐって二転三転

こんにちは。イージフの野口です。概念フレームワークの改訂について、最近当ブログでも取り上げることが多くなっています。注目すべき改訂内容がたくさんあるのですが、今回は、概念フレームワークの中で扱われている、認識に関するIASBの審議を紹介したいと思います。

何を財務諸表上認識するのか、オンバランスしなければならない財務諸表項目について、これまで誤解されることが多かったと言われています。現行の概念フレームワークでは、構成要素の定義を満たす対象物の認識要件を以下のように定めています。

  • 経済的便益の流入または流出の可能性が高いこと(蓋然性規準)
  • 信頼性をもって測定できる原価または価値を有していること

特に1つ目の蓋然性規準は誤解されやすかったと思います。経済的便益の流入または流失の可能性が高い、という閾値をもって、財務諸表項目は計上されるかどうかを判断すると捉えられますが、デリバティブ資産もしくは負債など、実際には閾値を満たしていない財務諸表項目を認識する場合があります。また基準書によっては「可能性が高い」という表現以外の言い回し(「発生しない可能性よりも発生する可能性の方が高い」など)になっていることもあり、混乱を招いていると批判されていました。

この蓋然性規準をどのように扱うか、改訂の動向に注目が集まっていましたが、2016年7月のIASB会議で、資産または負債、および収益、費用または持分の変動に関して、以下の2点を認識の要件とすることが決定されました。


  • 目的適合性があること
  • 忠実な表現であること

蓋然性規準は削除されています。蓋然性規準は誤解を招きやすい上に、概念フレームワークにふさわしい形で記載することは非常に困難と判断されたからです。しかし、一方で蓋然性規準がなくなった新要件はあいまい過ぎるという批判に対処するため、経済的便益の流入または流失の可能性が低い項目は、通常、認識されないという説明が盛り込まれることになります。


いろいろな変更が加わり、わかりにくくなってしまったのですが、ここで注意しておきたいのは、新概念フレームワークで蓋然性規準がなくなっても、蓋然性が低い項目を新たに認識することにはならないということです。当然と言えば当然のことなのですが、改めて注意しておきたいところです。


この新しい2要件は、2015年公表の公開草案からさらに変更された箇所があります。公開草案では、情報を提供するコストを上回る便益をもたらす、という3点目の要件が含まれていました。しかし、この時の会議で削除する合意がなされています。


認識において、コストの制約を考慮する必要がないことを意味しているわけではありません。コストの制約は、認識という局面だけでなく、財務報告全般に関わることとして、概念フレームワーク内に記載されます。


認識においても、もちろん、コストの制約を考慮することが必要となります。この考え方はこれまでと変わりありません。


概念フレームワークの改訂では、多くの文言が修正されることになります。今回紹介した認識の要件もこれまでとは様変わりします。しかしそれは、これまで、実際に行われてきている認識の方法を変えるものではありません。今実際に使われているIFRSに合わせるための改訂であるということをここでもう一度確認したいと思います。



イージフ 野口