2017年11月6日月曜日

IFRS、EBITをP/L表示に、営業利益は不採用

こんにちは。イージフの野口です。これからのIASBの活動は、コミュニケーションの改善(Better Communication)が重要な取り組みとして位置付けられています。 取り組みの内容は広範なものであり、今までの開示実務を大きく変えるような提案も多く含まれています。しかし、急にIFRSの開示規定が変わってしまうわけではなく、現在は基本財務諸表の表示という比較的論点がまとまっている問題から審議されています。

基本財務諸表の中でも、特にP/Lに関連した問題は重要視されています。近年のIFRSは、かつてよりも純損益を重視する立場で作られていますが、それより前は、純損益は究極的には不要で包括利益こそ企業の業績を表す、という今とは違う立場を取っていました。そのような変遷があるにも関わらず、基本財務諸表の表示についてはIFRSが掲げている理想と、投資家などの利害関係者からの要求(投資家などからはやはり純損益を支持する声が大きかった)という現実の中間点を取るような形になっており、現在もそれを維持する意味はなくなったと思われます。

投資家に有用な情報となる利益情報をもっと多く開示すべきではないか、というのが現在のIASBの問題意識です。そもそも企業へ決算説明会などでは、営業利益といった純損益以外の利益指標を用いて説明しているケースが多いのではないでしょうか。

純損益や包括利益以外の利益で、有用な情報となり得るものとして、IASB会議で候補に挙がっているのは、

・企業独自の業績指標
・EBIT

の2つです。企業が独自に設定した業績指標は、企業の事業の内容や環境に応じて何を指標に含めるか設定するので、業績を理解するには適していると考えられますが、企業間の比較が難しくなります。EBITは、財務収益、費用および税金費用控除前利益であり、企業間の比較には適しています。IASBでは両方を検討する予定ですが、EBITの導入の方が投資家からの要求が強いため、優先して取り上げられることになっています。

日本からは営業利益の導入を求める声が強かったと思います。確かに、営業利益も候補に挙げられていたのですが、IASBにて却下されています。営業利益の定義づけが非常に困難であることが理由となっています。

しかし、企業独自の業績指標についてはIFRSにガイドラインが記述され、企業が独自に設定することが想定されますので、企業独自の業績指標として日本基準による営業利益を採用することができるのかもしれません(まだ審議されていませんので、可能性のほどは全くわかりませんが)。そういった部分まで考えを広げてみると、現在のIFRSの新しい考え方のもとでは、「日本基準的な考え方」は意外と親和性があるのではないかという印象があります。


イージフ 野口


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