2017年12月4日月曜日

IFRS3号「企業結合」事業の定義の改訂、米国基準と相違

こんにちは。イージフの野口です。IFRS3号「企業結合」について、事業の定義に関する改訂作業が大詰めとなっています。この改訂についてはFASBが先行し、すでに米国基準では最終化されています。そこで当初、IASBでは、米国基準の改訂に合わせるというのが基本方針としていました。

しかし、その後の審議ではFASBと異なる決定がなされ、米国基準との差異が生じています。このような違いは、それぞれの基準の利害関係者が異なる要求をしているのであるから、異なる要求に対して異なる対応になるのは当然、と会議では考えられているようにみえましたが、もちろん利害関係者から「IFRSと米国基準の差は小さい方が望ましい」という要求もあります。そこでIASBでは、これまでの決定により生じた主な差異について検討を行いました。
会議で取り上げられた主な差異は以下になります。



・選別テストを強制せず、企業の任意とする
・選別テストに使用する総資産に現金及び現金同等物を含める
・アウトプットの定義内容
・事業の定義とアウトプットの定義の関係
・取得したプロセスが実質的かを判断
・のれんの存在の推定
・石油、ガス事業の設例

結論を先に言うと、主な差異として取り上げられた項目のうち、定義の内容や規定の記述の仕方については、実質的には同じ内容を規定しているものと考えられるか、結果に大きな差異が生じないと判断されています。

 選別テストを任意とする相違点も維持


もっとも懸念されていた差異は、選別テストに関する差異でした。取引を事業の取得か資産の取得か判断する選別テストに関する差異について、IASBでは選別テストの実施は企業の任意としていますが、米国基準の改訂では強制となっています。米国基準との重要な差異となる可能性があると指摘されていました。

しかし、IASBではこの懸念は当たらないという見解が支持され、この決定は維持されることになりました。

選別テストの実施は、資産の取得と識別された取引のみが追加的な評価を省略が認められるだけであって、それ以外の取引は、選別テストを行わなかった取引も同様に、事業の取得であるか評価することが求められます。選別テストを強制にするか任意とするかによって結果に大きな差異は生じないというのがIASBの考えです。

その他、選別テストに関しては、手続きで使用する総資産の範囲がFASBの決定と異なっていました。米国基準では総資産に現金及び現金同等物を含まないことを明記していますが、IASBではこれまでこの点について検討がなされていませんでした。最終的な審議で、この規定に関しては米国基準に合わせることとなりました。したがって、IFRSにおいても選別テストで考慮する総資産には現金及び現金同等物を含まないことになります。

新しい事業の定義は2020年より適用開始


事業の定義に関する審議はほぼ完了し、最終基準書の公表は2018年前半とし、202011日以後開始する事業年度の期首以降が取得日となる取引に適用される予定です。また早期適用も認められることとなっています。

このプロジェクトの開始当初は、FASBIASBでは同じような問題意識を共有していると考えられていましたが、プロジェクトが進むにつれて、想定よりも米国基準との同等性が保つことができなかった印象があります。しかし、実務上問題となる重要な差異は発生していないとIASB会議で確認されているように、実務上、両者の差異による混乱は少ないのではないかと思います。


イージフ 野口